文部科学省による次世代地域産業人材育成刷新事業「マイスター・ハイスクール」に本校が指定を受けました。
事業テーマは、「ふくしまの未来を創るテクノロジスト育成」です。
平成29年度に本校が開校し、東日本大震災からの復興に向け、教育活動を通して、地域のコミュニティ再生や地域復興を担う人材の育成に取り組んできました。これまでの学びで得た知識・経験を活かし、地域課題の解決そして、これからの相双地域、さらにはふくしまの創生を担うテクノロジストの育成を図るため、自治体、産業界と学校が一体となり、次世代に向けた人材育成モデルを構築します。
マイスター・ハイスクール事業報告
マイスター・ハイスクール事業研究成果報告会の動画をアップロードしました。
【電気科】ワイヤレス給電研究活動報告 (11月上旬:コンピュータアイデアコンテスト) (12月上旬:東北学院大学での共同研究活動) (12月下旬:ワイヤレス給電の未来を考えるシンポジウム)
本校では現在マイスターハイスクールの研究を実施していますが、私たちの班ではワイヤレス給電
について研究を進めています。ワイヤレス給電とは、電線を使用しない(ワイヤレス)で給電を行う
方法ですが、私たちは昨年度の先輩方の研究成果を生かして、さらに研究を前進させるべく、新しい
ことにも挑戦をして、研究活動に取り組むことにしました。
そこで今年度実践したワイヤレス給電での、校外における実践活動について、3点報告します。
1.福島県高校生コンピュータ・アイデア・コンテスト(CIC大会) 令和5年11月10日(金)
工業部会が主催する福島県高校生コンピュータアイデアコンテストが、県立会津工業高等学校に
おいて開催されました。研究で取り組んでいる「陸上給電」「水中給電」におけるワイヤレス給電
の製作模型について「自動車型給電模型」と「 LED点灯模型」を準備して 大会に応募しました。
CICに応募動画した動画(左:自動車型模型、右:水中給電)
大会当日(展示ブースが狭いため、縦長に配置して対応しました)
奨励賞をいただきました。最後まであきらめずに努力して良かったです。
2.大学における研究活動(東北学院大学工学部電気電子工学科) 令和5年12月9日(土)
東北学院大学では、担当の佐藤文博先生に技術指導をいただいていますが、ワイヤレス給電において
共同研究をさせていただいています。今回、大学を訪問して、共同実験を行ってきました。
また、当日はオープンキャンパス開講日でもあるので、模擬授業も受講することができました。
生体情報工学について(電気電子工学科 加藤和夫先生)模擬授業
ワイヤレス給電を活用した電動キックボードによる体験実習
(東北学院大学 と 民間自動車 との連携による試作品)
実習棟でのワイヤレス共同実験(佐藤文博研究室)
インピーダンスアナライザによる数値観測 オシロスコープによる波形観測
実習室は磁場が完全にシールド(磁気遮蔽)しており 外部の影響を受けない状態で実験できました
3.ワイヤレス給電の未来を考えるシンポジウム 令和5年12月22日(金)
~ 小高産業技術高等学校・東北学院大学共同による ワイヤレス給電合同体験研修会 ~
福島ロボットテストフィールド(南相馬市原町区)を会場にして、小高産業技術高等学校・
東北学院大学共同による「 ワイヤレス給電 合同体験研修会 」 を開催しました。
福島県立小高産業技術高校では、文部科学省から研究指定を受け、令和3年から3年間
「マイスター・ハイスクール事業」の研究を実施しており、ワイヤレス給電の研究活動に
取り組む上で、東北学院大学には種々の御指導や共同研究活動を賜りました。
東北学院大学は東北大学(プロジェクトリーダー鈴木高宏教授)との共同実施により
「大学等の「復興知」を活用した人材育成基盤構築事業」の採択を受け、人材育成事業に
取り組んでいます。
今回、3年間の研究活動に一定の成果が得られましたので、小高産業技術高等学校と
東北学院大学共同で、両プロジェクトのまとめとしてワイヤレス給電に関する合同体験
研修会を実施しました。
自動車型模型(ミニ四駆)における走行模型を製作して、来場者に説明する様子
ワイヤレス給電における水中給電を実演 (右手にある球は、磁場の影響を受けないため光らない)
ワイヤレスドローンの仕組みを説明 実際にドローンを操作する様子
ワイヤレス給電を利用した地域復興の在り方について (3班編成でグループワーク)
(1班)ワイヤレス給電を用いたエンターテイメントについて
「光るナイト温泉」「デジタル花火」「空撮を用いた展望台」などを活用実践として
地域の産業を発展させるアイデアを発表した
(2班)ワイヤレスドローンを用いた「相馬野馬追まつり」について
南相馬は「相馬野馬追」で有名なので、「ドローン騎馬戦」を使って町おこしをして
地域の産業を発展させるアイデアを発表した
(3班)漁業を再生させる取り組みについて
いけす(養殖場)にワイヤレス給電を活用させるアイデア
水中ロボットで給餌させ、成魚を育成させるというもの
少子高齢化における人材不足にも対応できるという実用的内容
合同研修会のまとめ(小高産業技術高校 大槻 成志)
研修会に参加した 小高産業技術高校と東北学院大学のワイヤレス研究班で集合写真
御指導いただいた東北学院大学 教授 佐藤 文博 先生(左から3番目)
ワイヤレス給電は、学習内容において高周波を扱う内容であるため、難易度が高い内容でありますが
本校生徒は大学と共同研究を進め、ワイヤレス給電に関する製作物を各種完成することができました。
実社会を見ると民間レベルでも携帯電話やノート PC などの静止している物に対する給電が現実であり
走行している自動車や飛行している航空物などの給電は技術が追いついていないのが実情であります。
しかしながら、今回動作している対象物への給電を考え実用化させるために、論文や文献等を参考に
東北学院大学と連携して「自動車模型(陸上給電)」「水中模型(水中給電)」「ワイヤレスドローン
(空中給電)」に取り組んできました。研究機関と連携をとりながら、一生懸命取り組むことで、最終
的に目標達成を実現できたため、今回、東北学院大学と連携して、合同研修会に至りました。
ワイヤレス給電は現在、各方面で研究されていますが、実用化には課題が多く、まだまだこれからの
未来の技術であると感じます。ワイヤレス給電には、その内容に無限なる可能性が膨らんでいますので
今後も研究活動に取り組んでいきたいと感じております。
最後になりますが、本研究において御指導いただきました東北学院大学の佐藤文博先生には、心より
御礼申し上げます。さらに今回の研修会では、復興庁や福島イノベーションコースト構想推進機構にも
御支援いただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。
【電気】ワイヤレス給電に関する研究活動
本校では現在マイスターハイスクールの研究を実施していますが、わたしたちの班では
ワイヤレス給電について研究を進めています。ワイヤレス給電の社会が実現すれば、身の
回りの生活がコードレス社会になり、スマートな生活環境になります。現在Wi-fiがもたらす
通信環境はコードレスによる生活環境を実現できることになりました。今後、さらにワイヤ
レス給電が実現することで新たな未来が実現できます。
私たちは、昨年度の先輩方の研究成果を生かして、さらに研究を前進させるべく、新しい
ことにも挑戦して、研究活動に取り組むことにしました。
(1)電磁誘導方式(磁界共鳴型)コイルを利用した方式
(2)静電誘導方式 コンデンサを利用した方式
※ 今回の研究では、共振現象を利用した「電磁誘導方式」を採用しました。
(図参照)NTT環境宇宙エネルギー研究所
[実践活動・1] LEDへのワイヤレス給電 ・・・ 静止している物への給電
LED給電(左:0.5cm 右:2cm) 磁気遮蔽実験(左:アルミニウム 右:プラスチック)
距離が離れると給電効率が下がる 磁束が金属板に吸収され、受電側に充分に給電されない
[実践活動・2] 電車型模型(プラレール)への給電 ・・・ 動作する対象物への給電
送電コイルを搭載したレール 受電コイルを搭載した走行車体 佐藤文博先生より技術指導 最終的に走行実現
[実践活動・3] 電源回路(インバータ:DC⇒AC回路)の製作
電源回路を計算 実際自作した電源回路 f = 30kHz~36kHzを観測 班員の作業風景
[実践活動・4] 自動車型模型(ミニ四駆)の製作 <状態確認>
走行コースをインピーダンスアナライザで調べる コースの状態を分析(波形観測)
[実践活動・5] 自動車型模型(ミニ四駆)の製作 <コース製作・走行模型製作>
送電コイルを搭載した走行コースの製作 受電コイルを搭載した自動車型模型(動作確認)
自動車型模型を試行錯誤の末に完成。
ワイヤレス給電を自動車型模型に応用して、給電を完成させることができた。公開文化祭でも展示。
[実践活動・6] 水中におけるワイヤレス給電の実証実験
水中においても陸上と同様に給電可能であるか検証したが、問題なく動作することが確かめられた。
水槽にコイルを施した給電装置の全体図 水中給電(左:給電前、右:給電中)
角形水槽への給電(丸形水槽とは異なり、電流磁場が均一ではない)
[実践活動・7] ワイヤレス給電を活用したドローンへの給電実験
陸上での給電、水中での給電に成功したため、最終課題である空中での給電を目指して取り組んだ。
空中で直接給電をする場合、レーザーやマイクロ波による給電となるため、人体への安全面も充分に
考慮して地上で一旦給電を行い、その後で空中に飛行させる間接給電方式に変更した。
ワイヤレスドローン(送電基地・受電ドローン) 給電の様子(赤:通電、青:給電)
共振状態の確認 給電されたドローンを操縦
(研究活動のまとめ)
ワイヤレス給電における給電技術は私たちが日頃から想像している以上に奥が深く、現在でも日々
技術が進歩しています。いま現在、私たちが日頃利用している「携帯電話やタブレットPCなどへの
給電」が、ワイヤレス給電の主な利用例ではありますが、将来的には「走行自動車や航空機への給電
技術」「宇宙発電などにおける地球への送電技術」「ガンの治療など医療技術」の利用も考えられて
おり、幅広い分野への活用が想定されます。
今回のマイスターハイスクールに関する研究活動を通じて、ワイヤレス給電に関する様々な内容を
学ぶことができましたが、この技術は現在も拡大を続けており 夢や希望が広がる分野だと言えます。
今回の発表会を持って、授業における研究活動は終わりを迎えますが、卒業後もワイヤレス給電に
関する分野に興味を持ち続け、さらに学び続けていきたいと感じております。
第33回全国産業教育フェア福井大会参加報告
第33回全国産業教育フェア福井大会が以下の日程で実施されました。
産業教育フェアとは、専門高校生等が全国から集い、日頃の学習や活動の成果を総合的に発表する場です。
本校だと工業・商業科が対象となります。
〇日時:令和5年10月28日(土)~29日(日)
〇場所:福井県産業会館、福井県生活学習館
本大会では「文部科学省事業発表」が実施され、本校が活動しているマイスターハイスクール事業について発表をしてきました。
当日の発表内容として、マイスターハイスクールの実践内容で学んだことの発表、展示ブースを設営してのポスターセッションが主なものです。
本校は「ふくしまの未来を創るテクノロジスト育成事業」という題で6つの分野で活動していることを発表しました。
今回は1学校15分以内という制約があるため、以下の3つの分野に絞った発表となりました。
①再生可能エネルギー(EV・水素燃料電池車製作、EVレース参加、地元EVレース企画・運営)
②ロボット技術(メカトロニクス学習、騎馬武者ロボット、手綱センサ、農業ロボット)
③スマートシティ(地元商店街の電子発注、SNS発信、地域通貨、相双アンバサダー)
これらの活動では「学科・企業・地域連携」「地域貢献」が多く組み込まれており、それらを主軸として発表した。
成果発表の講評として「非常に高度な学習内容である。また、これらの活動で4つの学習効果(挑戦・創造・継続・協働)をあげており、それら全てが今後を担う産業人として必要な資質であり、理にかなった効果を上げている。」といただいた。
生徒たちも日々練習していた成果が認められ、終了後は歓喜の表情であった。
会場モニュメント |
文部科学省事業発表① |
文部科学省事業発表② |
本校紹介ブース |
【機械×電気×商業】相双EVレース大会の掲載情報
11月27日(月)に行われた、相双EVレース大会のレポートが
CQ出版社のEVミニカートのウェブページに掲載されました。
下記のリンクから閲覧できます。
https://evcart.xsrv.jp/2023/12/14/fukushima/
【機械×電気×商業】相双EVレース大会の開催
2023年11月27日(月)会場:ふたば自動車学校
本校主催の「相双EVレース大会」を開催いたしました。
相双EVレース大会とは、相双地区の各学校で製作する電気自動車技術の向上のために
製作技術の意見交換や、課題解決につなげることを目的とした大会です。
校長あいさつ(開会式) 出走前準備①(車検) 出走前準備②(ピットの様子)
レース開始の様子① 吹奏楽部の生演奏 レース開始の様子②
会場は、ふたば自動車学校の敷地をお借りし、20分間の周回数を競うというルールで行われました。また、本校の機械科、電気科、ふたば未来学園高校、テクノアカデミー浜より合計8台のエントリーがありました。天候にも恵まれ、各チームがベストを尽くして戦う姿が見られました。商業科では、受付、司会、大会の解説などを担当し、吹奏楽部は疾走感ある演奏で大会を盛り上げました。大会の様子を、各メディアにも取り上げていただき、地域の活性化につながる良い大会になったのではないかと思います。最後に、この大会を開催するにあたり、ふたば自動車学校、CQ出版社、電動モビリティ専門職大学、東北大学等の協力団体をはじめ、大会関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
<大会順位>
1位:浮舟号 千色志音 選手(小高産業技術)
2位:Htec-Jr. 根岸尚史 選手(テクノアカデミー浜)
3位:吉名号 遠藤魁浬 選手(小高産業技術)
レース解説の様子① レース解説の様子② 展示ブース
水素燃料電池自動車 体験 CQ出版社佐藤様より講評 集合写真
【相双EVレース大会動画①】 【相双EVレース大会動画②】 【相双EVレース大会動画③】
※上記画像をクリックすると動画が再生されます。
【産業革新科(工業) 】環境化学コース、電子制御コース3年生マイスターハイスクール課題研究
11月17日(金)産業革新科(工業)の3年生が課題研究で日本原子力研究開発機構の研究員の方々と株式会社JDRONEの方々のご指導の下、前回に引き続き、ドローンに測定器を付けて遠隔地の大気サンプリング分析と空間線量のマッピング技術について研究を行いました。文部科学省の方々がマイスター・ハイスクール事業の視察にいらっしゃるということで少し緊張した面持ちでした。
また、今回、あいにくの雨で、前半は講義を中心に行いましたが、最後、雨が上がってドローンを実際に飛行させることができました。環境化学コースと電子制御コースのメンバーがそれぞれの分野で協力し研究を進めてきた結果、思い通りの動作確認ができ、協働することの大切さがわかりました。ドローンの操縦は、免許を持った専門の方にお願いしました。
【産業革新科電子制御コース 】2年生マイスターハイスクール事業、ドローンのプログラム講習会
11月2日(木)、9日(木)の2日にわたり2年生対象にドローンに関するプログラム講習会を行いました。講師は、産業実務家教員の東日本計算センター・大平様他3名にお願しました。
1日目は、ドローンの飛行に関して変更になった法律関係や操縦ライセンスを説明と、トイドローンのプログラミングについて実習を行い、2日目は、4台の連帯飛行についてプログラミングまで実習を行うことができました。
現在、3年生が取り組んでいる内容を教えていただき生徒たちも生き生きと課題に取り組み、思うようにいかない機体に苦労しながらも熱心にプログラム作成を行うことができ、来年以降にもつながっていくと期待できます。
ドローンに関する法規の説明を受ける様子
ドローンのプログラミング実習の様子
コントロール用パッドを配置している様子
4台のドローンを一緒に飛ばす準備の様子
【相双EVレース大会告知】
下記の日程で本校主催の「相双EVレース大会」を開催いたします。入場料は無料です。ぜひ、観戦に足を運んでください。
【日 程】 : 令和5年11月27日(月)
【場 所】 : ふたば自動車学校(双葉郡浪江町高瀬小高瀬迫198-3)
【参 加 校】 : テクノアカデミー浜、ふたば未来学園高校、小高産業技術高校
【開 場】 : 12:00
【スタート】 : 13:00
【閉 場】 : 15:00
【レギュレーション】 : モーター最大出力は600[W]以下(使用個数は1つ)
鉛電池定格12V3.2Ahの容量(2個まで使用可)
【レース規則】 : 20分間走行し、周回数を競う
【機械×電気】相双EVレース予選走行会
相双EVレース予選走行会が以下のとおりに実施されました。
日時:2023年11月10日(金)
場所:ロボットテストフィールド
参加:小高産業技術高校、ふたば未来学園
相双EVレースについては以下のリンクより、宣伝ポスターが確認できます。
今回、ロボットテストフィールドの滑走路コースを利用し、製作したEVカートを走行させました。
500m×20mのアスファルト舗装コースであり、モーター出力が試されるコースです。
本日の走行タイムを参考に本番のスタートポジションを決定していきます。
トップは往復1kmの滑走路コースを1分52秒で走行しました。
参加車両は本校機械科1台、電気科3台、ふたば未来学園より1台となりました。
予選走行動画01(40秒動画)
予選走行動画02(35秒動画)
予選会終了後、「11月27日(月)に実施される本番レースでは規定タイムでの周回数を競うルールになっている。単純に出力を上げて速くするとすぐにバッテリーが無くなってしまう。いかに速く、長時間走行ができるかが課題である。」と大会実行委員から話があり、参加生徒たちは改めて本番にむけて取り組む姿勢を見せていた。
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令和6年度本校のいじめ防止基本方針については以下のファイルをご確認ください。
本校のスクール・ポリシーについて以下のファイルを御参照ください。
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