マイスター・ハイスクール(次世代地域産業人材育成刷新事業)について
文部科学省による次世代地域産業人材育成刷新事業「マイスター・ハイスクール」に本校が指定を受けました。
事業テーマは、「ふくしまの未来を創るテクノロジスト育成」です。
平成29年度に本校が開校し、東日本大震災からの復興に向け、教育活動を通して、地域のコミュニティ再生や地域復興を担う人材の育成に取り組んできました。これまでの学びで得た知識・経験を活かし、地域課題の解決そして、これからの相双地域、さらにはふくしまの創生を担うテクノロジストの育成を図るため、自治体、産業界と学校が一体となり、次世代に向けた人材育成モデルを構築します。
事業報告
【電気】ワイヤレス給電に関する研究活動
2024年1月5日 14時04分本校では現在マイスターハイスクールの研究を実施していますが、わたしたちの班では
ワイヤレス給電について研究を進めています。ワイヤレス給電の社会が実現すれば、身の
回りの生活がコードレス社会になり、スマートな生活環境になります。現在Wi-fiがもたらす
通信環境はコードレスによる生活環境を実現できることになりました。今後、さらにワイヤ
レス給電が実現することで新たな未来が実現できます。
私たちは、昨年度の先輩方の研究成果を生かして、さらに研究を前進させるべく、新しい
ことにも挑戦して、研究活動に取り組むことにしました。
(1)電磁誘導方式(磁界共鳴型)コイルを利用した方式
(2)静電誘導方式 コンデンサを利用した方式
※ 今回の研究では、共振現象を利用した「電磁誘導方式」を採用しました。
(図参照)NTT環境宇宙エネルギー研究所
[実践活動・1] LEDへのワイヤレス給電 ・・・ 静止している物への給電
LED給電(左:0.5cm 右:2cm) 磁気遮蔽実験(左:アルミニウム 右:プラスチック)
距離が離れると給電効率が下がる 磁束が金属板に吸収され、受電側に充分に給電されない
[実践活動・2] 電車型模型(プラレール)への給電 ・・・ 動作する対象物への給電
送電コイルを搭載したレール 受電コイルを搭載した走行車体 佐藤文博先生より技術指導 最終的に走行実現
[実践活動・3] 電源回路(インバータ:DC⇒AC回路)の製作
電源回路を計算 実際自作した電源回路 f = 30kHz~36kHzを観測 班員の作業風景
[実践活動・4] 自動車型模型(ミニ四駆)の製作 <状態確認>
走行コースをインピーダンスアナライザで調べる コースの状態を分析(波形観測)
[実践活動・5] 自動車型模型(ミニ四駆)の製作 <コース製作・走行模型製作>
送電コイルを搭載した走行コースの製作 受電コイルを搭載した自動車型模型(動作確認)
自動車型模型を試行錯誤の末に完成。
ワイヤレス給電を自動車型模型に応用して、給電を完成させることができた。公開文化祭でも展示。
[実践活動・6] 水中におけるワイヤレス給電の実証実験
水中においても陸上と同様に給電可能であるか検証したが、問題なく動作することが確かめられた。
水槽にコイルを施した給電装置の全体図 水中給電(左:給電前、右:給電中)
角形水槽への給電(丸形水槽とは異なり、電流磁場が均一ではない)
[実践活動・7] ワイヤレス給電を活用したドローンへの給電実験
陸上での給電、水中での給電に成功したため、最終課題である空中での給電を目指して取り組んだ。
空中で直接給電をする場合、レーザーやマイクロ波による給電となるため、人体への安全面も充分に
考慮して地上で一旦給電を行い、その後で空中に飛行させる間接給電方式に変更した。
ワイヤレスドローン(送電基地・受電ドローン) 給電の様子(赤:通電、青:給電)
共振状態の確認 給電されたドローンを操縦
(研究活動のまとめ)
ワイヤレス給電における給電技術は私たちが日頃から想像している以上に奥が深く、現在でも日々
技術が進歩しています。いま現在、私たちが日頃利用している「携帯電話やタブレットPCなどへの
給電」が、ワイヤレス給電の主な利用例ではありますが、将来的には「走行自動車や航空機への給電
技術」「宇宙発電などにおける地球への送電技術」「ガンの治療など医療技術」の利用も考えられて
おり、幅広い分野への活用が想定されます。
今回のマイスターハイスクールに関する研究活動を通じて、ワイヤレス給電に関する様々な内容を
学ぶことができましたが、この技術は現在も拡大を続けており 夢や希望が広がる分野だと言えます。
今回の発表会を持って、授業における研究活動は終わりを迎えますが、卒業後もワイヤレス給電に
関する分野に興味を持ち続け、さらに学び続けていきたいと感じております。