マイスター・ハイスクール(次世代地域産業人材育成刷新事業)について
文部科学省による次世代地域産業人材育成刷新事業「マイスター・ハイスクール」に本校が指定を受けました。
事業テーマは、「ふくしまの未来を創るテクノロジスト育成」です。
平成29年度に本校が開校し、東日本大震災からの復興に向け、教育活動を通して、地域のコミュニティ再生や地域復興を担う人材の育成に取り組んできました。これまでの学びで得た知識・経験を活かし、地域課題の解決そして、これからの相双地域、さらにはふくしまの創生を担うテクノロジストの育成を図るため、自治体、産業界と学校が一体となり、次世代に向けた人材育成モデルを構築します。
事業報告
【電気科】ワイヤレス給電研究活動報告 (11月上旬:コンピュータアイデアコンテスト) (12月上旬:東北学院大学での共同研究活動) (12月下旬:ワイヤレス給電の未来を考えるシンポジウム)
2024年1月15日 12時13分本校では現在マイスターハイスクールの研究を実施していますが、私たちの班ではワイヤレス給電
について研究を進めています。ワイヤレス給電とは、電線を使用しない(ワイヤレス)で給電を行う
方法ですが、私たちは昨年度の先輩方の研究成果を生かして、さらに研究を前進させるべく、新しい
ことにも挑戦をして、研究活動に取り組むことにしました。
そこで今年度実践したワイヤレス給電での、校外における実践活動について、3点報告します。
1.福島県高校生コンピュータ・アイデア・コンテスト(CIC大会) 令和5年11月10日(金)
工業部会が主催する福島県高校生コンピュータアイデアコンテストが、県立会津工業高等学校に
おいて開催されました。研究で取り組んでいる「陸上給電」「水中給電」におけるワイヤレス給電
の製作模型について「自動車型給電模型」と「 LED点灯模型」を準備して 大会に応募しました。
CICに応募動画した動画(左:自動車型模型、右:水中給電)
大会当日(展示ブースが狭いため、縦長に配置して対応しました)
奨励賞をいただきました。最後まであきらめずに努力して良かったです。
2.大学における研究活動(東北学院大学工学部電気電子工学科) 令和5年12月9日(土)
東北学院大学では、担当の佐藤文博先生に技術指導をいただいていますが、ワイヤレス給電において
共同研究をさせていただいています。今回、大学を訪問して、共同実験を行ってきました。
また、当日はオープンキャンパス開講日でもあるので、模擬授業も受講することができました。
生体情報工学について(電気電子工学科 加藤和夫先生)模擬授業
ワイヤレス給電を活用した電動キックボードによる体験実習
(東北学院大学 と 民間自動車 との連携による試作品)
実習棟でのワイヤレス共同実験(佐藤文博研究室)
インピーダンスアナライザによる数値観測 オシロスコープによる波形観測
実習室は磁場が完全にシールド(磁気遮蔽)しており 外部の影響を受けない状態で実験できました
3.ワイヤレス給電の未来を考えるシンポジウム 令和5年12月22日(金)
~ 小高産業技術高等学校・東北学院大学共同による ワイヤレス給電合同体験研修会 ~
福島ロボットテストフィールド(南相馬市原町区)を会場にして、小高産業技術高等学校・
東北学院大学共同による「 ワイヤレス給電 合同体験研修会 」 を開催しました。
福島県立小高産業技術高校では、文部科学省から研究指定を受け、令和3年から3年間
「マイスター・ハイスクール事業」の研究を実施しており、ワイヤレス給電の研究活動に
取り組む上で、東北学院大学には種々の御指導や共同研究活動を賜りました。
東北学院大学は東北大学(プロジェクトリーダー鈴木高宏教授)との共同実施により
「大学等の「復興知」を活用した人材育成基盤構築事業」の採択を受け、人材育成事業に
取り組んでいます。
今回、3年間の研究活動に一定の成果が得られましたので、小高産業技術高等学校と
東北学院大学共同で、両プロジェクトのまとめとしてワイヤレス給電に関する合同体験
研修会を実施しました。
自動車型模型(ミニ四駆)における走行模型を製作して、来場者に説明する様子
ワイヤレス給電における水中給電を実演 (右手にある球は、磁場の影響を受けないため光らない)
ワイヤレスドローンの仕組みを説明 実際にドローンを操作する様子
ワイヤレス給電を利用した地域復興の在り方について (3班編成でグループワーク)
(1班)ワイヤレス給電を用いたエンターテイメントについて
「光るナイト温泉」「デジタル花火」「空撮を用いた展望台」などを活用実践として
地域の産業を発展させるアイデアを発表した
(2班)ワイヤレスドローンを用いた「相馬野馬追まつり」について
南相馬は「相馬野馬追」で有名なので、「ドローン騎馬戦」を使って町おこしをして
地域の産業を発展させるアイデアを発表した
(3班)漁業を再生させる取り組みについて
いけす(養殖場)にワイヤレス給電を活用させるアイデア
水中ロボットで給餌させ、成魚を育成させるというもの
少子高齢化における人材不足にも対応できるという実用的内容
合同研修会のまとめ(小高産業技術高校 大槻 成志)
研修会に参加した 小高産業技術高校と東北学院大学のワイヤレス研究班で集合写真
御指導いただいた東北学院大学 教授 佐藤 文博 先生(左から3番目)
ワイヤレス給電は、学習内容において高周波を扱う内容であるため、難易度が高い内容でありますが
本校生徒は大学と共同研究を進め、ワイヤレス給電に関する製作物を各種完成することができました。
実社会を見ると民間レベルでも携帯電話やノート PC などの静止している物に対する給電が現実であり
走行している自動車や飛行している航空物などの給電は技術が追いついていないのが実情であります。
しかしながら、今回動作している対象物への給電を考え実用化させるために、論文や文献等を参考に
東北学院大学と連携して「自動車模型(陸上給電)」「水中模型(水中給電)」「ワイヤレスドローン
(空中給電)」に取り組んできました。研究機関と連携をとりながら、一生懸命取り組むことで、最終
的に目標達成を実現できたため、今回、東北学院大学と連携して、合同研修会に至りました。
ワイヤレス給電は現在、各方面で研究されていますが、実用化には課題が多く、まだまだこれからの
未来の技術であると感じます。ワイヤレス給電には、その内容に無限なる可能性が膨らんでいますので
今後も研究活動に取り組んでいきたいと感じております。
最後になりますが、本研究において御指導いただきました東北学院大学の佐藤文博先生には、心より
御礼申し上げます。さらに今回の研修会では、復興庁や福島イノベーションコースト構想推進機構にも
御支援いただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。