事業報告

【電気科】ワイヤレス給電の研究(中間報告)について

  マイスターハイスクールの研究の一環として、電気科では「ワイヤレス給電の研究」について

 取り組んでいます。ワイヤレス給電はワイヤレス電力伝送ともいい、金属接点やコネクタなどを

 介さずに電力を伝送することです。 身近な例では、コードレス電話、電気 シェーバー、電動

 歯ブラシなどの機器においても利用されています。

 

  そこで、令和4年10月から、東北学院大学の佐藤文博教授を講師としてお招きして研究活動を

 進めることになりました。 

  

    〇 講習内容 :「ワイヤレス給電」に関する研究活動

    〇 講  師 : 東北学院大学 佐藤 文博 教授

    〇 時  数 : 月1回3時間(4回実施)

  

  ワイヤレス給電方式には様々なものがありますが、今回の研究では電磁誘導を利用した技術を

 採用しています。電磁気学の相互誘導作用を基本としながら、これに共振の概念を導入している

 ものになります。 

 

  ワイヤレス給電の社会が実現すれば、身の回りの生活がコードレス社会になりスマートな生活

 環境になります。現在Wi-Fiがもたらす通信環境はコードレスによる生活環境を実現できるように

 なりました。 さらにワイヤレス給電が実現することで、新たな未来が実現できるようになります。

 

<実践1> 静止している物へ給電することができるか ~LEDによるワイヤレス給電の基礎実験の検証~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   以下、動いているものに対するワイヤレス給電の取り組みになります。

 <実践2> 自動車型模型(ミニ四駆)による給電について  

  

 

 

 

 

  送電コイルを搭載した走行コースと製作過程    インピーダンスアナライザで出来具合を調べる

 

 

 

 

 

 

     コースの状態を分析(波形観測)

 

  <実践3> 電車型模型(プラレール)による給電について

 

 

 

 

 

送電コイルを搭載したプラレール 受電コイルを載せた走行車体

 

 

 

 

 

東北学院大学佐藤教授から御指導    最終的に走行が実現

 

<実践4> 今回のワイヤレス給電の研究に際して、実際に製作した電源回路(インバータ)

 

 

 

 

  電源回路を計算       実際に自作した電源回路    オシロスコープで正弦波交流を確認

 

<1年目最終報告>

リッツ線(撚線)に変更して模型走行が動作した様子  完成作品を生徒課題研究発表会で展示  1月18日(水)

 

 

 

 

 



 

  ワイヤレス給電の研究は、当初電気科にあるエナメル線(単線)でコイルを巻いて、研究を進めてきま

 したが、コイルの巻数が増えるにつれ、抵抗値Rも増加する結果となってしまいました。ワイヤレス給電

 は  コイルのQ値  が 重要な要素であります が、電流を流すための 抵抗 R が一定の値を超えてしまうと、

 十分な効果が得られないことが わかりました。

  これを解消するために、周波数を上げようとすると 高周波 になるため、電線の表面部分にしか 電流が

 流れない現象(表皮効果)が起こり、通常の電線では十分に対応することができないこともわかりました。

  このため、細線を何本も束ねた(使用したものは660本)撚線(リッツ線)を使い、この問題に対応しま

 した。 実際に Q値 を測定すると、エナメル線のときよりも1桁高い値になり、格段に進歩が見られる結果

 なりました。

  今回の研究に際し、東北学院大学佐藤文博教授ならびに同研究室の皆様には、大変お世話になりました。

 心より御礼申し上げます。