2024年1月の記事一覧
【電気科】ワイヤレス給電研究活動報告 (11月上旬:コンピュータアイデアコンテスト) (12月上旬:東北学院大学での共同研究活動) (12月下旬:ワイヤレス給電の未来を考えるシンポジウム)
本校では現在マイスターハイスクールの研究を実施していますが、私たちの班ではワイヤレス給電
について研究を進めています。ワイヤレス給電とは、電線を使用しない(ワイヤレス)で給電を行う
方法ですが、私たちは昨年度の先輩方の研究成果を生かして、さらに研究を前進させるべく、新しい
ことにも挑戦をして、研究活動に取り組むことにしました。
そこで今年度実践したワイヤレス給電での、校外における実践活動について、3点報告します。
1.福島県高校生コンピュータ・アイデア・コンテスト(CIC大会) 令和5年11月10日(金)
工業部会が主催する福島県高校生コンピュータアイデアコンテストが、県立会津工業高等学校に
おいて開催されました。研究で取り組んでいる「陸上給電」「水中給電」におけるワイヤレス給電
の製作模型について「自動車型給電模型」と「 LED点灯模型」を準備して 大会に応募しました。
CICに応募動画した動画(左:自動車型模型、右:水中給電)
大会当日(展示ブースが狭いため、縦長に配置して対応しました)
奨励賞をいただきました。最後まであきらめずに努力して良かったです。
2.大学における研究活動(東北学院大学工学部電気電子工学科) 令和5年12月9日(土)
東北学院大学では、担当の佐藤文博先生に技術指導をいただいていますが、ワイヤレス給電において
共同研究をさせていただいています。今回、大学を訪問して、共同実験を行ってきました。
また、当日はオープンキャンパス開講日でもあるので、模擬授業も受講することができました。
生体情報工学について(電気電子工学科 加藤和夫先生)模擬授業
ワイヤレス給電を活用した電動キックボードによる体験実習
(東北学院大学 と 民間自動車 との連携による試作品)
実習棟でのワイヤレス共同実験(佐藤文博研究室)
インピーダンスアナライザによる数値観測 オシロスコープによる波形観測
実習室は磁場が完全にシールド(磁気遮蔽)しており 外部の影響を受けない状態で実験できました
3.ワイヤレス給電の未来を考えるシンポジウム 令和5年12月22日(金)
~ 小高産業技術高等学校・東北学院大学共同による ワイヤレス給電合同体験研修会 ~
福島ロボットテストフィールド(南相馬市原町区)を会場にして、小高産業技術高等学校・
東北学院大学共同による「 ワイヤレス給電 合同体験研修会 」 を開催しました。
福島県立小高産業技術高校では、文部科学省から研究指定を受け、令和3年から3年間
「マイスター・ハイスクール事業」の研究を実施しており、ワイヤレス給電の研究活動に
取り組む上で、東北学院大学には種々の御指導や共同研究活動を賜りました。
東北学院大学は東北大学(プロジェクトリーダー鈴木高宏教授)との共同実施により
「大学等の「復興知」を活用した人材育成基盤構築事業」の採択を受け、人材育成事業に
取り組んでいます。
今回、3年間の研究活動に一定の成果が得られましたので、小高産業技術高等学校と
東北学院大学共同で、両プロジェクトのまとめとしてワイヤレス給電に関する合同体験
研修会を実施しました。
自動車型模型(ミニ四駆)における走行模型を製作して、来場者に説明する様子
ワイヤレス給電における水中給電を実演 (右手にある球は、磁場の影響を受けないため光らない)
ワイヤレスドローンの仕組みを説明 実際にドローンを操作する様子
ワイヤレス給電を利用した地域復興の在り方について (3班編成でグループワーク)
(1班)ワイヤレス給電を用いたエンターテイメントについて
「光るナイト温泉」「デジタル花火」「空撮を用いた展望台」などを活用実践として
地域の産業を発展させるアイデアを発表した
(2班)ワイヤレスドローンを用いた「相馬野馬追まつり」について
南相馬は「相馬野馬追」で有名なので、「ドローン騎馬戦」を使って町おこしをして
地域の産業を発展させるアイデアを発表した
(3班)漁業を再生させる取り組みについて
いけす(養殖場)にワイヤレス給電を活用させるアイデア
水中ロボットで給餌させ、成魚を育成させるというもの
少子高齢化における人材不足にも対応できるという実用的内容
合同研修会のまとめ(小高産業技術高校 大槻 成志)
研修会に参加した 小高産業技術高校と東北学院大学のワイヤレス研究班で集合写真
御指導いただいた東北学院大学 教授 佐藤 文博 先生(左から3番目)
ワイヤレス給電は、学習内容において高周波を扱う内容であるため、難易度が高い内容でありますが
本校生徒は大学と共同研究を進め、ワイヤレス給電に関する製作物を各種完成することができました。
実社会を見ると民間レベルでも携帯電話やノート PC などの静止している物に対する給電が現実であり
走行している自動車や飛行している航空物などの給電は技術が追いついていないのが実情であります。
しかしながら、今回動作している対象物への給電を考え実用化させるために、論文や文献等を参考に
東北学院大学と連携して「自動車模型(陸上給電)」「水中模型(水中給電)」「ワイヤレスドローン
(空中給電)」に取り組んできました。研究機関と連携をとりながら、一生懸命取り組むことで、最終
的に目標達成を実現できたため、今回、東北学院大学と連携して、合同研修会に至りました。
ワイヤレス給電は現在、各方面で研究されていますが、実用化には課題が多く、まだまだこれからの
未来の技術であると感じます。ワイヤレス給電には、その内容に無限なる可能性が膨らんでいますので
今後も研究活動に取り組んでいきたいと感じております。
最後になりますが、本研究において御指導いただきました東北学院大学の佐藤文博先生には、心より
御礼申し上げます。さらに今回の研修会では、復興庁や福島イノベーションコースト構想推進機構にも
御支援いただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。
【電気】ワイヤレス給電に関する研究活動
本校では現在マイスターハイスクールの研究を実施していますが、わたしたちの班では
ワイヤレス給電について研究を進めています。ワイヤレス給電の社会が実現すれば、身の
回りの生活がコードレス社会になり、スマートな生活環境になります。現在Wi-fiがもたらす
通信環境はコードレスによる生活環境を実現できることになりました。今後、さらにワイヤ
レス給電が実現することで新たな未来が実現できます。
私たちは、昨年度の先輩方の研究成果を生かして、さらに研究を前進させるべく、新しい
ことにも挑戦して、研究活動に取り組むことにしました。
(1)電磁誘導方式(磁界共鳴型)コイルを利用した方式
(2)静電誘導方式 コンデンサを利用した方式
※ 今回の研究では、共振現象を利用した「電磁誘導方式」を採用しました。
(図参照)NTT環境宇宙エネルギー研究所
[実践活動・1] LEDへのワイヤレス給電 ・・・ 静止している物への給電
LED給電(左:0.5cm 右:2cm) 磁気遮蔽実験(左:アルミニウム 右:プラスチック)
距離が離れると給電効率が下がる 磁束が金属板に吸収され、受電側に充分に給電されない
[実践活動・2] 電車型模型(プラレール)への給電 ・・・ 動作する対象物への給電
送電コイルを搭載したレール 受電コイルを搭載した走行車体 佐藤文博先生より技術指導 最終的に走行実現
[実践活動・3] 電源回路(インバータ:DC⇒AC回路)の製作
電源回路を計算 実際自作した電源回路 f = 30kHz~36kHzを観測 班員の作業風景
[実践活動・4] 自動車型模型(ミニ四駆)の製作 <状態確認>
走行コースをインピーダンスアナライザで調べる コースの状態を分析(波形観測)
[実践活動・5] 自動車型模型(ミニ四駆)の製作 <コース製作・走行模型製作>
送電コイルを搭載した走行コースの製作 受電コイルを搭載した自動車型模型(動作確認)
自動車型模型を試行錯誤の末に完成。
ワイヤレス給電を自動車型模型に応用して、給電を完成させることができた。公開文化祭でも展示。
[実践活動・6] 水中におけるワイヤレス給電の実証実験
水中においても陸上と同様に給電可能であるか検証したが、問題なく動作することが確かめられた。
水槽にコイルを施した給電装置の全体図 水中給電(左:給電前、右:給電中)
角形水槽への給電(丸形水槽とは異なり、電流磁場が均一ではない)
[実践活動・7] ワイヤレス給電を活用したドローンへの給電実験
陸上での給電、水中での給電に成功したため、最終課題である空中での給電を目指して取り組んだ。
空中で直接給電をする場合、レーザーやマイクロ波による給電となるため、人体への安全面も充分に
考慮して地上で一旦給電を行い、その後で空中に飛行させる間接給電方式に変更した。
ワイヤレスドローン(送電基地・受電ドローン) 給電の様子(赤:通電、青:給電)
共振状態の確認 給電されたドローンを操縦
(研究活動のまとめ)
ワイヤレス給電における給電技術は私たちが日頃から想像している以上に奥が深く、現在でも日々
技術が進歩しています。いま現在、私たちが日頃利用している「携帯電話やタブレットPCなどへの
給電」が、ワイヤレス給電の主な利用例ではありますが、将来的には「走行自動車や航空機への給電
技術」「宇宙発電などにおける地球への送電技術」「ガンの治療など医療技術」の利用も考えられて
おり、幅広い分野への活用が想定されます。
今回のマイスターハイスクールに関する研究活動を通じて、ワイヤレス給電に関する様々な内容を
学ぶことができましたが、この技術は現在も拡大を続けており 夢や希望が広がる分野だと言えます。
今回の発表会を持って、授業における研究活動は終わりを迎えますが、卒業後もワイヤレス給電に
関する分野に興味を持ち続け、さらに学び続けていきたいと感じております。
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